大判例

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東京高等裁判所 昭和45年(ネ)1418号 判決

被控訴人の被承継人糸魚川一男が時効期間満了前である昭和三二年ごろ本件土地が控訴人の所有であるかも知れないと考えながら、その当時任意にこれを控訴人に返還しなかつたとしても、それだけで同人の本件土地占有が平穏なものでなくなつたとはいいえず、原判決挙示の証拠中には右一男が測量士の本件土地内への立入りを強く拒んだこともうかがえないではないが、これをもつて直ちに爾後同人の占有が強暴のものとなつたともいえず、また公然性を失つたとすることもできない。控訴人において右一男の本件土地時効取得を阻止しようとすれば、その当時裁判上の請求等法定の中断手段をとりえたのであるが、控訴人とくにその借地人側においてわずか一、五平方メートルに足りない土地について隣地の所有者と争うのを好まず、一男の占有を放任したのであつて、ために控訴人側にいささか酷なる結果となつたとしても、それは時効制度の趣旨からして止むをえないものといわなければならない。

(浅沼 岡本 田畑)

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